土地や相続した建物を、使用しないからといってそのまま放置していませんか?

「いつか使うかもしれない」

「活用すれば収入になりそうだから手放すのが惜しい」

「売却したいけどどうしたらいいかわからない」

空き地や空き家に対するお悩みは人それぞれですが、使用しない土地や建物を長期間放置していると、見えないところで大きな損失やトラブルを生む可能性が増加している可能性があります。

なぜ空き地や空き家は放置してはいけないと言われているのでしょうか。

そして不要になった不動産はどのように処分すればいいのでしょうか。

不動産の売却や活用について多くのご相談を受けてきた売却コンシェルジュが詳しく解説します。

【1】空き地や空き家を放置することによって考えられるリスクとは?

現在の日本で問題視されている「空き地・空き家問題」。一見すると「使用しない土地や建物を放置しているだけ」に思えるかもしれませんが、実は人の手が加わらない土地や建物にはさまざまなリスクや危険性があります。

ここで挙げるのは下記の7つです。

(1)老朽化により大規模修繕が必要になる

(2)倒壊する可能性がある

(3)害虫や害獣が発生して近隣トラブルにつながる

(4)犯罪の温床になりやすい

(5)何倍もの税金を支払わなければならない

(6)売却しにくくなる

(7)「特定空き家」に指定される

1つずつ詳しく解説していきます。

1-1 老朽化により大規模修繕が必要になる

建物は適切な修繕や定期的なメンテナンスをおこなわないと、想像以上に速いスピードで劣化していきます。

「いつか使うかもしれないから」という理由で、使用していない建物を保有し続けるケースは少なくありません。しかし何もせずただ保有しているだけでは、いざ「住みたい」「貸したい」と思ったときに老朽化が酷く、大規模な修繕や改修工事が必要になるケースもあります。

定期的に修繕やメンテナンスをおこなっていれば少額で住んでいたはずの費用も、大規模修繕ともなるとさらに大きな費用負担が必要です。

1-2 倒壊する可能性がある

長期にわたって修繕やメンテナンスがされていない建物は、手入れの行き届いている建物と比較して劣化スピードが格段に速くなります。

特に雨漏りやシロアリの被害をそのままにすることで、柱や梁といった建物の主要構造部の劣化が進行し、十分な耐久性・耐震性を維持できない状態になってしまうのです。

建物の劣化が影響するのは大規模地震の発生時のみではありません。例えば台風の強風により屋根瓦が飛んでしまい、近隣の住宅に直撃したり、歩行者に怪我をさせたりする危険性もあります。

空き家を手つかずのまま放置することは、上記のような近隣の住宅や住民にとっても非常に危険なことであり、場合によっては損害賠償請求をされる可能性も否定できないのです。

1-3 害虫や害獣が発生して近隣トラブルにつながる

空き地や空き家は害虫・害獣の発生源にもなる可能性があります。

人の出入りがなく清掃されていない住居や、草むしりがされておらず不法投棄が放置された空き地は、ハチをはじめとした害虫や、ネズミ・野鳥・野良猫などの害獣が住み着く可能性が高くなります。

害虫や害獣が住み着くことで、近隣住民が悪臭や感染症などの被害を受けるだけでなく、建材が削られたり糞尿により腐敗したりすることで建物の耐久性までも脅かしかねないのです。

空き地や空き家を放置することは、敷地内にとどまらず周辺地域の住環境に悪影響を及ぼす可能性が高く、近隣住民からのクレームにつながったり、損害賠償請求の対象となったりするケースもあります。

1-4犯罪の温床になりやすい

空き地や空き家は放置されることで人が寄り付きにくくなるため、犯罪の温床になりやすいという大きなリスクがあります。

適切な管理をしている建物であれば、定期的に現地を確認することで犯罪を未然に防ぐことができますが、空き家を完全に放置してしまうと、建物内に不審者が侵入していても気づくすべがありません。

また人の出入りがない空き家や雑草・ごみが放置された空き地は、放火の対象になりやすいとも言われています。万が一所有している空き家で火災が発生し、近隣住民や付近の住宅にも被害が及んでしまった場合、空き家の所有者が責任を問われることになるのです(民法717条)。

1-5 何倍もの税金を支払わなければならなくなる

空き家を放置し続けると、土地に対して課される税金の額が大幅に増えるという点も大きなデメリットの1つです。

土地や建物に対して課税される「固定資産税」や「都市計画税」といった税金は、不動産を使用状況の有無にかかわらず必ず発生するものですが、敷地内の建物が「住宅」である場合、200平米までの敷地であれば固定資産税は通常の6分の1、都市計画税は3分の1に軽減されるという特例が適用されます。

ところが誰も済まないまま放置された建物は「住宅」としてみなされなくなり、上記の軽減税率が適用されなくなってしまいます。つまり空き家を放置し続けると、使用していないにもかかわらず高い税金を支払い続けなければならなくなるのです。

1-6 売却しにくくなる

同じ立地や面積の土地や建物を売却する場合であっても、状態のいい不動産のほうが買い手がつきやすく、さらに高値で売却できる可能性が高まるということは容易に想像できるのではないでしょうか。

空き地や空き家を放置した結果「やっぱり使わないから売却しよう」と売りに出したとしても、それまで適切な管理をしていなかった不動産は、管理された不動産と比較して状態が良くありません。そのため資産価値を低く見積もられるだけでなく、購入後に買主自身が土地や建物に手を入れなければならなくなることから、早期売却も難しくなると言えます。

さらに建物に関しては、築年数が経つほど資産価値は低下し、築年数22年をすぎると価値がないものとして扱われてしまいます。つまり売却を後回しにするほど、思ったような金額で売却できない可能性が高まるのです。

1-7 「特定空き家」に指定される

「特定空き家」というのは、2015年に施行された「空家対策特別措置法」という法律で定義されたもので、適切な管理がおこなわれず周辺の生活環境や景観に著しく悪影響を及ぼす可能性のある空き家に対して指定するものです。

特定空き家に指定される空き家について具体的な例を挙げると、老朽化により今にも倒壊しそうな建物や、ごみの放置や不法投棄により発生している悪臭や害虫・害獣が放置されている空き地、落書きがされたりガラスが割れたりしたまま放置された空き家などが該当します。

特定空き家に指定されると、最初のうちは行政から管理状況の改善についての助言・勧告を受けます。その時点で適切に対処したり売却したりすれば問題ありませんが、そのまま放置し続けると、最終的には行政代執行がおこなわれることになります。

【2】土地や建物が不要になったらまず考えるべきこと

不要になった土地や建物を放置することは非常に大きなリスクを伴います。自身で居住しない場合は、収益不動産として活用するか、売却するかを選択することをおすすめします。

2-1 収益不動産として活用する

土地や建物は自身の居住用のほかに、賃貸に出したり事業用地として活用したりすることで収益につなげることが可能な場合があります。

建物に大きな故障や不備がない場合は、清掃や必要な修繕のみおこなって賃貸物件として貸し出すことができます。最低限の初期費用と労力ですぐに始められるため、物件の状態がいい場合には検討してみましょう。

所有しているのが土地のみの場合でも、駐車場やトランクルームなどで収益を得たり、事業用地として貸し出したりすることも可能です。

2-2 売却する

自身で土地や建物を活用する予定がない場合は、可能な限り早く売却を検討することをおすすめします。

先に解説したとおり、建物は築年数が経過するほどに資産価値が下がっていくだけでなく、耐久性や耐震性も低下していくものです。つまり、売却を先延ばしにすればするほど買い手を見つけるのに苦労する可能性が高まり、希望条件での売却からも遠ざかってしまうということです。

そのため所有する不動産を使用する予定がない場合は、可能な限り早く不動産会社に売却相談し、査定を受けることが重要です。

【3】空き地や空き家がなかなか売却できないときの対処法

本記事をご覧の方の中には、不要になった不動産の売却活動を始めたものの、なかなか問い合わせをもらえない・契約締結まで進まないという悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

買い手がスムーズに見つからない場合、希望条件で購入してくれる人が現れるのを待つという選択肢もあります。しかし不動産は所有しているだけでも毎年税金がかかってしまうため、売却方法の見直しをおこなうのが賢明です。

3-1 建物を解体して売却する

土地と建物をセットで売却することが難しい場合は、建物を解体して土地だけ売却するということも検討する必要があります。

特に築年数が経過した住宅や状態の悪い建物の場合は、建物を解体して土地のみで売却したが高く売れるケースが多くあります。更地であれば購入者側で建物を解体したり修繕したりする必要がなく、土地活用の幅が広がるためです。

ただし建物を解体するためには多くの時間と費用がかかり、解体費用によっては土地と建物をセットにしたまま売却したほうがいい場合もあります。どちらを選択すべきか迷ったら、空き地や空き家の売却に詳しい不動産会社に相談してみるといいでしょう。

3-2 訳あり物件の売却に強い不動産会社を探す

長年使用されていない空き地や空き家を希望条件で売却するためには、いわゆる「訳あり物件」の売却に強い不動産会社に依頼することが重要です。

一般的な土地や建物の売却と比較して空き地や空き家の売却は難易度が高く、周辺地域における不動産市場の動向や需要、過去の成約事例や現在の募集状況などを参照しながらすすめる必要があるためです。また訳あり物件を多く取り扱う不動産会社であれば、空き地や空き家に関する法律や届け出に精通していることも多く、必要な手続きを迅速にサポートしてもらえます。

不動産会社によっては、売却以外の活用方法についてアドバイスをおこなっている場合もあります。そのため、まだ売却するかどうか決めかねている段階であっても、不動産会社に問い合わせて相談することは非常に重要です。

まとめ 土地や建物が不要になったらまずはプロに相談しよう

不要になった土地や建物を放置し続けることは、近隣住民や周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、将来的に処分する際の費用や税金が大きく膨らむことになり、所有者にとっては大きな損失やリスクにつながる可能性が高いと言えます。

売却コンシェルジュでは使用しなくなった土地や建物をお持ちの方に対し、売却・活用・資産運用などさまざまな観点からサポートをおこなっています。

空き地や空き家についてのお悩みをお持ちであれば、ぜひ一度売却コンシェルジュにご相談ください。